北の国から

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(当時)大嫌いだった音楽の先生

中学生の頃、音楽の先生が大嫌いだった。

側から見たらなぜそんなに嫌いなのかと不思議なくらいだったと思う。

彼は学年主任の先生が音楽の先生だった。

 

私が通っていた中学校は普通の公立学校だったが、合唱に力を入れていて、特別に他の部活動と兼部できる特設合唱部というものがあった。

しかし力を入れていたのは特設合唱部だけでなく、学校全体なのであった。

つまり全校生徒毎日歌わざるを得ない。文化祭では合唱コンクールがあるし、朝礼の前にも歌うし、帰りの会の終わりにも歌う。

音楽のテストは期末テストのペーパーテストの他に歌のテストがあった。音楽室で一人一人自分の席の場所で立って歌うのだ。

修学旅行でも歌った。中学校のOBで東京芸術大学に通う先輩達と隅田川の近くの公民館みたいなところを借りて合唱した。

その修学旅行から数年後、アニメのユーリオンアイスを見ているとき、クレジットを見てなんだか見覚えがある名前だなと思ったら、作中のオリジナルのオペラ曲を歌っているのがそのOBの先輩であった。うける。

その先輩は先生と出会わなければ音楽の道に進んでいなかったはずの人なのだ。


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今思い返すと、やっぱり歌いすぎだったと思う。マクロスかよ。文化してた。

最初はなーんとも思わなかったのだけれども、徐々にやらされている気分になって嫌になってきた。

私は甲状腺の持病があって、中学生になって最初の夏休みに首を切開する手術をした。体調としては普通に元気に暮らしているつもりだったけど、もしかしたらやはりストレスがあったのかもしれない。部活は吹奏楽だったんですけど、そのストレスはあったと思う。

 

私のクラスは不思議なクラスで、男子は一人づつ歌うと上手い人が多いのに合唱としてみんなで歌うと男声が全く聞こえなくなるという不思議現象が起きていた。

先生は合唱の指導に熱が入るあまり、グランドピアノの鍵盤をビャー〜ん!!と強く叩き、

「この間できたホールの落成式にも招待されて、参加して歌って来ました。そんな俺が!!教えてやってるんだぞ!!」とキレられたこともある。(男子が)

当時は「頼んでねーよ」と思って頭に来たけど、これだけ言われても同じクラスの男子たちは「......」とシーーンと驚くほどの無反応だったので、怒るのも当然だったかもしれない。

徐々に先生のことも嫌いになり、音楽も合唱も嫌いになり、でも先生は三年間私に親切にしてくれたと思う。

中学入学時、私は甲状腺の病気で、目も飛び出したように腫れていて、わかる人が見れば一目でその病気とわかる顔をしていたのだが、その先生も目が飛び出しそうなくらい大きかった。

先生は何の病気でもなかったのだが、勝手な推測だが病院に行くとよく「あなたは甲状腺の病気ではないですか?」と聞かれていたのではないかと思う。

先生はきっと「全くの健康なのに、なぜそんなことを聞かれるのだろう?」と疑問に思ったことだろうが、そんな中、本当にその病気である生徒が自分の受け持つ学年に入学して来て驚いたのではないだろうか。

そして首を手術したという話を聞いて、きっと先生は「もし自分が首の手術をすることになったとしたら耐えられない!!」と想像したのかもしれない。

それもあって優しくしてくれたのではなかろうか、と思う。

音楽の授業で先生に「みんなカラオケ好きでしょ?カラオケも上手くなるから真面目に練習するといいことあるよ」と言われたこともあったんですけど、今の私がカラオケでまずまず歌えるのは、あの日々が少なからず役に立っていると思うし、あんなに嫌いだったのに今となってはもう少し楽しもうとしてもよかったのではないかとすら思うのである。デカルチャー。ここまで思えるなんて時間とは不思議なものである。

 

今週のお題「思い出の先生」